富山の巨木と紅葉を楽しむ旅
2007年10月26〜28日 その3/6

第2日目   宇奈月温泉 黒部峡谷 杉沢の沢杉(入善町) 謙信手植えの松(入善町) 生地の湧水地立山山麓の温泉
2日目は黒部峡谷鉄道の「宇奈月」駅から終点「欅平」駅までトロッコ列車に乗って紅葉狩りです。最後尾が私たちの車輌。車掌さんつきで貸し切り車輛みたい。少し寒かったので窓付きの特別車輛にしました。
黒部峡谷鉄道は全長20.1km、標高差約380m。1時間20分かけてゆっくりと走りながら、美しい峡谷の風景や紅葉を満喫させてくれます。トンネルも多いのですが、それだけに景色が見えた瞬間は感動です!
車窓から見えたのはこんな風景でした。今年初めての紅葉という方もいらして、窓を開けてカメラで紅葉を盛んに撮影する方も……。
欅平駅で列車を下りて、往復1時間半ほど。黒部峡谷の紅葉のなかをこれまたゆっくりゆっくりとみんなで歩きました。
しとしとと雨が降っていましたが、それだけに紅葉の色は冴えてとってもきれいでした。そのうえ、こんなふうに紅葉に霧が漂うことはなかなかないそうです。洗われたようにきれいな紅葉が霧にむせぶ心に残る風景になりました。
黒部峡谷をあとにしてやって来たのは、下新川郡入善町の杉沢の沢スギです。自然環境保全地域特別地区に指定されているここでは、木道を歩きながら沢スギを見学しました。森の感じと木道の感じがニュージーランドの巨木カウリの森にもなんとなく似ていて、思い出しながら歩きました。
 沢スギとは……、
 沢スギは親木の根元から出た枝が根付いて増えていくという伏条更新(ふくじょうこうしん)の性格を持っています。根元からの萌芽性が強く、伏条性があり、枝の発根力がよいのが特性です。
 沢スギは人間の手によって守り育てられた木です。切られた木は建築材として使われてきましたが、切られたスギの切り株からは何本もの幹が出ます。この幹のうちの大きなものを残して、他の幹を間伐していくという方法で更新してきました。この沢スギ林が杉沢と呼ばれる場所です。
 杉沢は昭和44年ごろには入善町の海外沿いに約45haもあったそうですが、37年ごろから始まった圃場整備事業により、そのほとんどが水田に姿を変えました。貴重な沢スギを保存するため、2.7haを国の天然記念物として残しているのが、現在の「杉沢の沢スギ」です。
黒部川扇状地の扇端部で地下水が湧き出ている沼沢地に沢スギは繁茂しています。ここは全国名水百選にも選定されていますが、透水性がよく湧水量も豊富。通常スギが生育する場所ではなく、このような沢地にスギが育つのは、つねに水が流れていて、その水によって酸素が供給されているからだといわれています。
スギ株の根元から萌芽したスギの苗木は生育すると雪の重みなどで倒れ、横に曲がりながら成長していき、着地すると根付いて広がっていきます。このような伏条現象は京都の芦生杉や伏条台杉、山形県の胴杉など山間部に多く見られますが、日本の平地ではこの杉沢の沢スギ林1カ所だけだそうです。
礫(れき=小石)のなかで育っているので根が深く入らず、栄養分が少ないため大きくなりにくく年輪が細かいのが沢スギ。
沢スギ自然館の方が、樹齢100年の普通の杉(左)と沢スギ(右)の年輪を比較して見せてくれました。
年輪が細かいということは木材として優れているいということ。だから建築材として利用されたのですね。
残念ながら、最近の水害でとても大きい沢スギは倒れたしまったとか。沢スギ自然館でその沢スギの写真や歴史を見せていただきました。
入善町のクロマツ、謙信手植えの松です。
●幹周り 6.6m ●樹高 19m ●樹齢 400年以上

上杉謙信が越中に攻め入ったとき、当地で病気になり、新治(にいはる)神社の神のお告げで霊水に浸かり、平癒した記念に植えたという伝説があるそうですが、地元では「庚申の松」と呼ばれ、庚申行事のときに植えられたとされています。 
マツの木は松枯れ病やマツノザイセンチュウなどの被害で全国的に枯れ始めているものが多いですが、このマツは手入れがいいのか、このとおり緑の葉をたくさんつけていました。元気な巨木は見るだけで私たちにたくさん元気をくれますね!
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